きれい好きは赤ちゃんにとって良いことなのか?

私とホコリ史

 

私、子どもが生まれるまでは、自分の家や部屋にホコリとか髪の毛が落ちていても全く平気でした。

 

というのも、私の母があまり掃除をしない人で、父もそのことについてとやかく言わない人でした。その結果、家の床にはホコリの白っぽい・灰色っぽいかたまりが落ちていても誰も何とも思わないし、誰も指摘しないので、そのホコリがゴミとして扱われるのは… 来客があるために母が掃除をするときだけでした。

 

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私も一人暮らしを始めてからは、週に1度ぐらい掃除機をかけるぐらいには進化しました。そりゃ、彼氏も来るしお友達も来るし、それまで何とも思ってなかったホコリについて、やっぱり少し気になる存在になったんでしょうね!

 

その後、結婚してからは小型犬のロングコートチワワを飼い始めましたが、二人ともにフルタイムの会社員なので、お掃除は土曜日の午前中だけの週に1回だけ!

犬を飼っても私のホコリに対しての働きかけは特に変わらず…

 

さてさて。その後子どもを出産すると、ホコリとの付き合い方が極端に変化しました。

産休・育休に入り時間ができたこともあるのかもしれませんが、それまで掃除機をかけるのは週に1回だけだったのが、毎日かけるように!

 

私、ものすごい変化です!

 

なんでだろう…

子どもが床で過ごすことが多いからでしょうか。

新生児はベッドやソファーで過ごしますが、その後、寝返りを経てズリバイやハイハイに至ると、特に床で過ごす時間が増えます。

 

そう。そこでホコリの存在が邪魔になったんです!!!

 

 出産後、毎日の掃除機かけは習慣になりました。

また現在も、朝起きたらまず換気扇をつけて掃除機をかけます。以前は明け方にロボット掃除機(通称おにぎりくん)を動かし、さらに起床後に掃除機をかけていました。

が、パナソニックが出した三角型のロボット掃除機RULO(ルーロ)の初代のものを購入したからか故障が多く、バッテリーも持たなくなってしまい、今ではスタートボタンを押しても3,4分動くとすぐに止まってしまいます(´;ω;`)ウッ…

はやく新しいロボット掃除機が欲しぃ!

 

と、話がロボット掃除機にずれてしまいましたが、ホコリ存在を意識するだけで、これだけ自分の掃除の仕方に変化が出てきたことが驚きです!

今思えば、小さいころ、我が家の机の下やピアノの足などにはいっつも白っぽい・灰色っぽいかたまりが落ちていたな…と昔の家の状態をフッと思い出しました。その状態が当たり前すぎて何も思わなかった幼少期。そんな家で育った私でも毎日掃除機をかけるようになるんですね!

 

 

 

ホコリとアレルギーの関係

 

では、そんな汚家の汚部屋で過ごしてきた私には大きな疾患等はありません。しかしアレルギーは発症しました。

 

まず、幼少期の卵アレルギーです。

これはホコリと非常に大きな関係があることが分かりました!

 

食物アレルギーは、アレルギーを起こす物質が少なくとも2回目に体に入ったときに起こるはずです。1回目に入った時には、アレルギー反応は起こらずに、アレルギー反応を起こす準備までしか、体はしないはずです。

 

皮膚から、子どもの周りにある卵アレルギーの原因物質が入ってきて、アレルギー反応を起こす準備が始まるようです。次に、口から入ってきて、食物アレルギーの反応が起こることになります。

 

まずは皮膚からアレルギーの原因物質が入り、次に口から入ることで体がアレルギーの反応を起こす仕組みになっています。

そのため、ホコリだらけだった我が家で生活していた小さな私は、皮膚からアレルギーの原因物質を摂取し、そして卵を食べたことでアレルギー反応を起こしたということです!

  • 子どもの寝具を掃除機で埃を吸い取り、埃中のチリダニアレルゲン、鶏卵アレルゲンの量を調べました100%の子どもの寝具の埃から鶏卵アレルゲンが検出され、それら全ての家庭でダニアレルゲン量よりも高濃度で検出しました。
  • 今回子どもの寝具の埃から検出された鶏卵アレルゲンは、一般的に家庭の寝具から検出されることが知られているダニアレルゲンよりも高濃度でした。鶏卵アレルゲンが寝具に多く認められることがわかりました。

 

特に、子どもの寝具には多くのアレルゲンが含まれていて、ダニアレルゲンもですが、鶏卵アレルゲンも寝具のホコリには含まれているのです。

私が小さなころは、今のように寝具専用の掃除機もなかった時代です。布団はたまにお外へ干す程度。そのような生活環境の中で、私が鶏卵アレルギーになったのはしょうがない状況だったのかもしれません。

 

参考:

100%の家庭の子どもの寝具から鶏卵アレルゲンが検出 | 国立成育医療研究センター

http://www.km-clinic.jp/genki/no/273.html

 

 

赤ちゃんにホコリは不要?

 

では、赤ちゃんと生活するにあたって、ホコリとはどのように付き合っていくのが良いのでしょうか。考えてみましょう。

 

たとえば、家の中のカビやハウスダストをきちんと掃除していなかったために、気管支喘息の発作を起こしてしまうお子さんは少なくありません。2017(平成29)年10月27日には、小学校でプロジェクターのスクリーンを掃除したところ、ホコリを吸いすぎて14名もの児童が激しく咳込むなどの体調不良を訴え、そのうち8名が緊急搬送された、というニュースもありました。

生活の身近なところにあるホコリやハウスダストですが、溜めてしまうと大量の菌やダニの温床となり、感染症やアレルギー疾患の原因にもなる非常に危険な存在です。

実際に、家の中のホコリ1グラム(500円玉くらいの大きさ)には、カーテンレールや棚の上などの高いところで、7万〜10万個の菌がいるとのデータもあります。

 

 

 

やっぱり、ホコリは菌やダニの温床となることが分かっています。そして危険な存在だともいわれています。

赤ちゃんがいる、いないにかかわらず、私たちが生活する環境を整えることは、私たちの健康を整えることにつながるのです。

 

 

参考:

間違った掃除で人は病気になる|健康になりたければ家の掃除を変えなさい|松本忠男|cakes(ケイクス)

 

 

犬がいることで赤ちゃんの免疫を考える

 

さて、イヌの話に戻ります。

赤ちゃんがいる状況でイヌを飼うことは、赤ちゃんに対してどのような影響があるのでしょうか?!考えてみましょう。

 

小型犬の場合、お散歩にいくことは必要ない、と言われます。でも我が家の場合、ロングコートチワワなのですが、朝夕はお散歩が必要です。

というのも、おしっことうんちをお外でしてくれるようになったからです。すると、お散歩は1日2回。その間に、外のコンクリートを歩き、空き地の草むらを歩き、自分のおしっこもたまに足につけて帰ってきます。

 

ワンちゃんが外から帰ってくるたびに、外の環境の細菌を連れて帰るので、赤ちゃんが出合う微生物の多様性と数が増える。心配するかもしれないが、これはじつは良いことなのだ。

お子さんの発達中の免疫系はこれらの細菌に親しみ、その恩恵を受ける。

 

お散歩後は犬の足をちゃんと拭きますが、さすがに体までも拭いたりはしません。

でも外の環境の細菌を連れて帰ることで、赤ちゃんに微生物の出会いを提供しているのですね!

 

 

赤ちゃんの免疫を健康的に保つために何ができるのか

 

では、赤ちゃんの免疫を健康的に保つには何ができるのでしょうか?!

 

 

できる限り、多様な微生物に出合うようにするのがいちばんだ。戸外へ連れ出し、動物と触れ合わせ、土、川、海で遊ばせる。お子さんが触りそうなものや、口に入れそうなものを何でも殺菌しないようにしよう。たとえば、地面に落ちたおしゃぶりなどが良い例だ。お子さんがいつも近くに置きたがる物を殺菌すると、のちに食物アレルギーにかかる率が高くなる。

 

よく、赤ちゃんが小さいうちに動物園に行ったらいいとか言われますよね。それがこのことなのでしょう。

 

それにしても、土、イヌ、ロバなどに親しむと、なぜ健康な(強い)免疫が生後初期に獲得できるのだろう?

赤ちゃんは、母親の賛同をとおるときにはじめて豊かな微生物の世界に出合う。子宮にいるあいだは、母親の体から胎盤をとおして一部の抗体を得る(これは受動免疫と呼ばれる)。赤ちゃんの体が自分で抗体をつくれるようになる前に危険な病原体を認識し、これと戦うための仕組みだ。予備的に得られている証拠によれば、これらの抗体の一部が赤ちゃんが初期のマイクロバイオームを形成して維持する手助けをしてくれるという。すべての抗体が免疫細胞に細菌を殺すように仕向けるわけではないのだ。一部の抗体は良い細菌を認識し、お子さんの体内の適切な場所にこれらの細菌を棲まわす。

重要なのは、マイクロバイオームを早期に細菌にさらして発達をうながすことが免疫系の訓練になり、お子さんを急性疾患と慢性疾患から一生守ってくれるということだ。

 

マイクロバイオームとは:

人体に棲みついた有益な微生物種と、ときに有益ではない結果をもたらす微生物種の集合体(微生物群衆)

hirakuogura.com

 

 

きれいすぎてもいけないし、除菌ばかりしていてもだめということ。赤ちゃんの免疫系を鍛えるためには、落ちたお菓子を食べたりしても動じず、砂を口に入れても動じないように、正しい情報を得ておく必要があるということです。

 

 

子どもを牧場に連れていくことで免疫力アップ!

 

先ほども、動物園を例に出しましたが、牧場に連れていくことも同じようなことです!

 

牧場では、好きなだけ動物をなで、動物が嫌がらないようなら頬をすり寄せても良い。土、泥、粗土、埃、そこにあるもの何でも楽しませてあげる。干し草の中に寝転がっても良い。動物に手ずから餌をあげるのは楽しい。1つだけ注意すべきなのは、床の上に落ちている動物の糞を食べさせないこと。動物、とくにブタ、爬虫類、両生類は、病気の原因となる寄生虫や細菌を持っている(糞だけでなく皮膚にも持つ)。

 

幼い子どもが動物に親しむとき、じつにさまざまな戸外の細菌にさらされ、発達中の免疫が訓練される。できるだけ牧場に行こうというのは、このためだ。

 

糞を食べてしまわないようにだけは注意し、あとは赤ちゃんや子どもの思うように過ごさせてあげましょう!免疫の訓練になるのです!

 

 

 

 きれい好きの現代に対しての半鐘 ~衛生仮説とは~

 

ドラッグストアへ行けば抗菌グッズが売られ、いろいろな商業施設の出入り口にも必ず手の消毒液が置かれている現代。

コロナウイルスの拡散を防ぐ、という目的もあるご時世ですが、きれいであることが美徳になっている現代に半鐘が鳴っています。

 

 子どもを自然にさらすのが良いという考えは「衛生仮説」として知られる。免疫系を効果的に刺激するには子どもたちの環境は「あまりに清浄すぎる」ことが多いのだそうだ。

周囲にアレルゲンが少なければ少ないほど、子どもはアレルギーを起こすのだ。

 

牧場の家畜やさまざまな種類の植物にさらされると、アトピー、アレルギー性のくしゃみ、食物アレルギー、喘息、皮膚アレルギー(アトピー性皮膚炎)のリスクが減る。だから出かけられるなら牧場に出かけるのが良いし、市街地を走る地下鉄の細菌も心配することはない。

さらに、お子さんをお持ちの方に、田舎、郊外、市街地の公園などどこにいても心に留めておいてほしいことがある。お子さんには自由に土で遊ばせよう(食べても良い)。土壌は微生物の観点から見れば天国のようなもので、1グラムにつき10億個以上の細菌や、多くの真菌とウイルスを含んでいる。そこの地面の周辺に動物の糞がたくさん落ちていれば、話は別だが、土壌にお子さんが病気になるような微生物は滅多にいないと安心して良い。それは免疫系を訓練してくれる複雑な微生物群衆のすばらしい源泉だし、これらの微生物にお子さんをさらす絶好の機会だ。

 

子どもや赤ちゃんを微生物と触れ合わせる機会が少ないことで、アレルゲンを遠ざけてしまうことで、反対にアレルギーになってしまう、という皮肉な状況が起きている。

病院のような特異な場所ではない限り、きれいすぎることは子どもや赤ちゃんにとっては皮肉にも良くない。

しかし私の場合のように、小さいころに汚い環境で育ったためにアレルギーを発症した事例もあります。

節度を保って子どもの環境はきれいに保つのは大事であり、外出時には公園へ出かけたり、牧場や動物園にも出かけることで、多様な微生物と触れ合うきっかけをつくることは、親として子どもや赤ちゃんにしてあげられる免疫力としての最大のプレゼントなのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

参考文献

ジャック・ギルバート他(2019)「子どもの人生は「腸」で決まる」.東洋経済新報社